Mの悲劇

 一千万円の預貯金をすべて無くしてしまった衛(稲垣吾郎)は警察に来ていた。
応対する刑事は、先日痴漢騒ぎのときの担当者・大川刑事(佐藤二朗)。
大川刑事は衛を見るなり、応対がなおざり。
防犯カメラを見たところ、サングラスすらしていない美沙(長谷川京子)の姿が映っているだけで、
刑事にとっては、衛と美沙は、恋人同士にしか見えないのだ。
 対応してくれない警察は諦め、美沙に直接聞いてみようと電話をする衛。
電話に出た美沙は衛に、「心からのお詫びをしてくれたら、金を返す」と言う。
しかし、衛には思い当たる節がない。
母・礼子(吉行和子)の手術の日が迫っている衛にとって、
美沙に奪い取られた金は、是が非でも取り返したいものであったのだ。
 八方塞の衛は、金も取り返せず、婚約者・有紀(岡本綾)との仲も、
修復がままならない状態で、現場での警備初仕事の日を迎えていた。
指導の係は、どうやら衛のことをこころよく思っていない下柳晃一(成宮寛貴)。
晃一は、営業としての衛が、現場の警備員たちに苦労を強いる条項を加えて契約を取っていたことで、
恨んでいることを告げる。
その条項は、「いかなる状況でも、最低一名の屋外警備員を玄関前に常駐させる」という条項である。
寒空の中、屋外での警備に立たされた衛は、下柳に恨まれていることを認識し、
自分の覚えていないことで他人に恨まれていることを知り、美沙のことを思うのであった。
 一方、有紀(岡本綾)は、衛との関係をはっきりとさせるため、美沙と会っていた