スピードワゴンのビシバシ純情12

[中日新聞]1月31日掲載


ちょっとだけ恩返しした喜び

へい!おれ小沢一敬
生まれ育った名古屋から東京に出てきて7年目に入りました。
今回は名古屋に住んでいた時の恩師の話でも・・。


 ぼくが今の世界に入ったのは10年くらい前のこと。
二十歳過ぎても職につかず、毎日ブラブラとその日暮らしでした。
幼なじみとテレビを見ていたら、
名古屋にお笑い事務所ができ、オーディションがあるとのこと。
ぼくらは、その日のうちにネタを作りました。
そのオーディション会場で出会ったのが、事務所の名古屋所長だったNさんでした。
 無事オーディションに受かりぼくらは「お笑い」にのめりこんでいきました。
乾いたスポンジが水を吸収するように、
何もなかったぼくらはどんどん「お笑い」が大好きになります。
まぁ、絞られたらすぐまた乾いてしまうところも
そっくりなんだけれども・・・


 でも、「好き」だけでは食べていけないのがお笑いの世界。
そんな時、Nさんは毎晩「飲みに行くぞ!」と誘ってくれました。
Nさんは大阪の本社に戻り、ぼくはコンビを解散し、事務所を辞めました。


潤に誘われて上京し、スピードワゴンを始めました。
それでも、Nさんにはずっとかわいがっていただき、
ぼくらが大阪に行けば必ず飲みに連れていってくれ、
Nさんが東京に来た時も飲みに連れていってもらいました。


しかし、いつまでもごちそうになってばかりではいられません。
「今回は僕が払います」いつ言っても、Nさんは
「10年早いわ!おまえの給料がおれを越えてから言えや!」
けんもほろろ。涙もほろり。


 前置きが長くなりましたが、
先日、久しぶりにNさんと食事に行きました。
お勘定はぼくが払いました。


Nさんはテレくさそうに「10年早いわ!」と言っていましたが、
親孝行ってしたことがないけれど、こんな感じなのかなぁと思った
少しだけ温かい冬の夜のお話でした。

Nさんとは、去年のラジオ(9/30)に突然現われた方です。
M−1準決勝の時も小沢さんと飲んでましたね・・
今週の「あとだし」でもお名前がでていますが
1/24に飲みに行ったようで・・もしかしてこの時のお話でしょうか?
『優しいお話』でジーンときました。