若年性アルツハイマーの見分け方

「ボケたか…」と自覚していれば大丈夫

映画「明日の記憶」(C)2006
明日の記憶」製作委員会
 俳優、渡辺謙が扮する49歳の中年部長が突然、
若年性アルツハイマーに襲われるシリアス映画「明日の記憶
(原作・荻原浩)が話題だ。
「自分のすべてが消えてしまう。
ゆっくり死ぬってことじゃないか!」という渡辺の叫びはショッキングだが、
それ以上にギクリとするのは、医者の診断シーンだ。
診察に来た渡辺に対し、無関係な3つの単語を覚えさせたり、
3〜4ケタの数字を逆唱するテストをする。
渡辺はつまずいたが、記者も同じだった。
「俳優の名前が思い出せない」とか「得意先への道を迷った」というのも
“症状”のひとつらしいが、そんなこともしょっちゅうある。
「オ、オレもアルツか?」と思ったら、背筋がゾクッとした。
 アルツとボケの見分け方はどこにあるのだろう。
元日赤病院脳神経外科部長で眞田クリニック院長の眞田祥一氏はこう言う。
「長谷川式と呼ばれる簡易テストの結果や、
芸能人の名前を思い出せないとか会議を忘れたという程度で
若年性アルツハイマーと決めつける必要はありません。
アルツハイマーは記憶をつかさどる脳の海馬が働かなくなる病気ですが、
アルツじゃなくても、ド忘れしたり働きが悪くなることはままある。
忘れたとしても、時間を置いて思い出せれば全く問題ありません。
忘れた芸能人の名前も、“名前を知っていた”という
事実を覚えていれば大丈夫です」
「ボケを自覚できなくなったときが本当に心配な病気」という言い方もする。
つまり、「この人、名前を知っていたのに出てこない!!」と
慌てるうちは大丈夫なのだ。
代表的な見分け方としては、
昨日の昼食のメニューを思い出せないのはボケだが、
食べたこと自体を思い出せないのは病気とか、
昔からの知り合いに会って名前を思い出せないのはボケ、
その知人であることすら忘れた場合は病気の疑いアリ……などがある。
 少しホッとしたが、医学博士の米山公啓氏(神経内科)は別の見方をする。
「若年性アルツハイマーという病気はまだよく分かっていない部分が多く、
生活習慣病という見方もある。
パソコン、携帯、コンビニなどに囲まれた現代人は、
仕事も生活もラクになった一方で、
図書館へ行って資料を探すといった脳を創造的に使う機会が減り、
脳の活性化が滞りがち。
若年性アルツを含め、若年痴呆症を誘発しかねないのです。
あまり新しいことに挑戦せず、
現状維持でいいと思っている人は気をつけた方がいいと思う」
 回復不可能な病気だけに、日ごろから注意したいものだ。
ゲンダイネット