順大往路V2「山の神」今井、歴史的逆転!5区3年連続区間新締め…箱根駅伝

第83回東京箱根間往復大学駅伝競走箱根駅伝
往路(2日、午前8時東京・大手町〜箱根・芦ノ湖=5区間108キロ) 
「山の神」が箱根ラストランで、またもや神話を生んだ―。
首位の東海大と4分9秒差の5位でタスキを受けた5区の今井正人(4年)が、
区間変更だった前回を含め3年連続区間新の力走。
5区として史上最大のタイム差を逆転する圧巻の4人抜きで、
順大を2年連続8回目の往路優勝へと導いた。5区の3年連続区間賞は史上5人目。
過去4人とも1度は総合Vを飾っており、数字上は順大の総合優勝確率は100%となった。
(天候曇り、気温10度、無風=スタート時)

 最強クライマーが箱根史に、新たな伝説を刻んだ。
タスキを受けた時、首位との差は4分9秒。
昨年の2分26秒を大きく上回る大差。
だが、今井は「気持ちのブレーキをかけずに攻めよう」。
序盤から前だけを見つめ、区間新ペースで飛ばした。

 まるで平地のようにスイスイと高低差864メートルを「山の神」は攻略した。
早大、日大、東洋大をかわすと、16キロ付近で東海大をついに逆転。
逆に2位を1分42秒離し
「上りで前が見えてリズムがつかめ、距離を増すごとに追いつけると思えた」。
5区での逆転往路Vは1938年の3分3秒差が最大で、69年ぶりに更新。
仲村明駅伝監督(39)も「本当に頼もしく思った」と主将の雄姿に目を細めた。

 最高の状態だった。今季は大学4年間で初めて故障もなし。
さらに男子マラソンの元日本記録保持者・犬伏孝行氏(34)の支えも大きかった。
同氏は昨春から1年間、協力研究生として順大に通学。
毎日のように練習に顔を出し、今井も助言を仰いだ。
「長いスパンでメリハリをつけた練習をするように」。
春先はレースを控え、箱根の総合Vを見据えてクロスカントリーでじっくりと足場を固めた。

 昨年、5区は距離変更され、箱根最長の23・4キロコースに。
その時作った自身の区間記録を25秒更新。
さらに91〜93年の武井隆次(早大)以来となる、3年連続の区間新を樹立。
1年時は2区区間10位と平凡に終わったが、5区を走った3年間でのべ20人を抜き、
一度も抜かれなかった。「最後の箱根。少しでも更新できたのは良かった」。
ラストランを満面の笑みで締めくくった。

 箱根から世界へ羽ばたく。今春、実業団のトヨタ九州に入社。
92年バルセロナ五輪男子マラソン銀メダルの森下広一監督(39)の指導の下、
ラソンでの五輪金メダルを見据える。
「箱根だけと言われるのは嫌」と、低迷する日本男子マラソン界の救世主を目指す。
スポーツ報知