東海大・佐藤ぶっち切り連続区間新!…箱根駅伝

第83回東京箱根間往復大学駅伝競走箱根駅伝
往路(2日、午前8時東京・大手町〜箱根・芦ノ湖=5区間108キロ) 
初の総合優勝を目指す東海大は、1区の佐藤悠基(2年)が、
第70回大会(1994年)で渡辺康幸(現・早大監督)がマークした記録を塗り替える、
1時間1分6秒の区間新で5区途中まで首位を粘走。
5区で順大・今井に抜かれたがトップと1分42秒差の2位と好位置で往路を終えたものの、
首脳陣はピリピリムードを漂わせた。
エース区間の2区では早大・竹沢健介(2年)が、1時間7分46秒で区間賞。
チームは、4位で5年ぶりシード確保を目指し復路に臨む。

 東京・大手町のスタートから飛び出し、どんどんスピードアップ。
あっという間に後続を置き去り、佐藤のひとり旅。
昨年の3区区間新に続く連続レコード走。
早大の大スターだった渡辺が94年に作った区間記録を、
7秒塗り替える新記録で東海大をスタートダッシュに導いた。
「後ろとの差は最低でも30秒と思っていた」。
それどころか、タスキを渡す時は、2位の東洋大に4分1秒差をつけた。

 その渡辺監督は大会前、自分の区間記録を
「2位と競り合った結果。ひとりでいったらタイムが出るかどうか」と評していた。
予想を覆し、佐藤はほとんど独走で記録を出した。
13キロ過ぎから、両足がけいれん気味になった。
「止まりかけたけど、気合で乗り切った」。
それまでのストライド走法から、もも裏筋肉に負担がかかりにくい
ピッチ走法に切り替える憎いばかりの臨機応変さだった。
中盤まで1キロ2分50秒のハイペース。
アクシデントがなければ、どこまでタイムが縮まったか。次元が違った。

 学生駅伝の枠を超えた逸材。
昨夏にイタリアなど欧州遠征のトラックレースで高レベルの結果を残し、
世界をより強く意識するようになった。
「箱根はステップ」と豪語するように、今年の最大目標は夏の世界選手権(大阪)の
トラック種目出場に置いている。箱根路だけで1年を終えるつもりはない。

 ただ、チームは5区で順大に抜かれ、1分42秒差の2位で往路を終えた。
大崎栄コーチ(42)は「ウチは3位以内が目標だから」とトーンダウンし、
佐藤自身も多くを語らないピリピリムードに終始した。
可能性が消えたわけではない逆転に望みをかけ、佐藤は黙って復路ゴールで朗報を待つ。
スポーツ報知